南米の大平原を走っていたわけです。チリ人の運転手と。見渡す限りはパンパと呼ばれる緑の平原と絨毯のシミのようなわずかの羊たち。 違和感のあるものが視界に入ります。人間が作ったフェンスです。このような特殊な場面だったからでしょうか、いつものフィルターが外れてはっと気付かされます。何かを囲って所有しようとするのはいつも人間だと。 ある時はホテルの一室で100km/hを超える強風が吹き荒れている窓外を見て。人間はこうして屋根を作り囲いを作ることで安全を手に入れようとするのだと。人間はコミュニティーを作り安全を作ろうとする。安定を作ろうとするといってもよい。さまざまなことをコントロールすることで、安定を得ようとする。予定を立てることもそう、屋根や囲いを作ることをもそう、何かを所有することもそう、保険をかけることもそう。コントロールすることで、不安定や危険、あるいは予期せぬことを最小限にして安...
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日本古来の武道や道のつくもの(例えば茶道)には、マインドフルネスが組み込まれているようです。 「弓と禅」という書があります(参考文献)。80年以上前に出版され、未だ版を重ねる名著は、スティーブ・ジョブズの愛読書だったそうです。 ドイツから東北帝国大学に来た哲学者が、日本文化を知るために行き着いたのが弓道でした。二の矢で一の矢を射抜く技量をもつ阿波研造(阿波研造の行射の様子は、YouTube等で画像閲覧が可能です)という大家に師事します。 2人のやり取りは禅問答のようであり、阿波師範は「弓を射るのは自分ではなく、『それ』である」などと言って著者を煙に巻きます。 教えの中には、さまざまなマインドフルネスに通じる言葉がみられます。「呼吸に注意を向ける」「力を入れずに引く」「意識せずにある」「熟れた実が弾けるように(矢を)放つ」「葉に積もった雪が落ちるように放つ」「力を入れずに引き、その動...
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マインドフルネスの真髄は、何かに注意を向けるというシンプルな方法で、ヒトの良いところを引き出すことだと思っています。雑多な考え、煩い、人を支配したい願望、我欲などは、えてして私たちの他者への反応を厳しくしたり、思いやりを持って接することを難しくしたりします。マインドフルネスはそういった雑多をなくすことで、良くない私たちを減らすと思います。 子育てでは、例えば思春期の子供を持つ状況で、子供の自立願望と、親は子供をまだ管轄下に置いておきたい支配願望や我欲の子供への転嫁などが衝突を生みます。そこでマインドフルネスは、良い自分を引き出すことで衝突を減らします。また、衝突の大きな意味を見ることを促します。子供が親を離れ、親が子供を離れるプロセスです。すると違った景色が広がってきます。また、子供の将来を心配するあまり、自分の期待を転嫁して子供を苦しませる場合については、期待よりも子供のありのまま...
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  日本では「うつヌケ」といううつ病トンネルからの脱出経験談をパロディー漫画化した書籍がベストセラーになったようです。実話の持つリアル感を手塚治虫さんのパロディー漫画家(御自身もうつ病体験者)がわかりやすく届けています。気圧の変化がうつを引き起こす場合のあること(頭痛ールと言うアプリは気圧の変化の予測を助けるそうです)、人から認められることがトンネルからの脱出のきっかけになった人たち、うつの間を「自習時間」と位置づけることで悲嘆を減らすなど、実体験に即しているからこそのパワフルな示唆に飛んでいました。   I had a black dog his name is depression (日本語サブタイトル版) こちらもその表現のリアルさという点では劣らないものです。世界保健機関(WHO)が、2012年にYouTubeにアップしたものとされています。注目...
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「醜形恐怖」とは、外見に対する過度の不安を表します。それを打ち消すための行動、例えば形成術とか、回避、つまり外出しないなどを伴うことがあります。 アカデミー賞の前夜、あるカウンセラーが呼ばれて行ったのは女優さんの家。世界中からのファッション・コーディネーターたちがその場に居合わせるも、授賞式で身にまとう衣装が決まらないとのこと。もちろん美しい方ですし、衣装は8000万円のものもあるようです。しかし、ご本人は「どの衣装を身につけても自分が美しく見えない」と苦悩し連絡してきたのです。この場合、人が実際この人をどう見ているかは関係ありません。ご自分がどう見られていると受けとめるかが問題なのです。治療としては、「十分綺麗じゃないですか」と安っぽい気休めを言うことは、ご本人が信じていることに反する訳で、解決になりません。むしろ、ご本人の苦悩に寄り添うことがスタートになります。その上で、...
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小林麻央さんのことについて、ある方から聞いて初めて知り、ブログをみました。 特に、 人生は不思議なもので、 何かの大きな力によって、不意に、 舵をとられることで、 それが望んでいなかったことでも、 結果的に、新しい道を開けることがある ということを学びました。 私は、舵をとられて、 その後隠れて隠れて真っ暗になったので、 新しく舵を取り返しました。  それが、ブログでした。 「KOKORO小林麻央のオフィシャルブログ」より抜粋 https://ameblo.jp/maokobayashi0721/ というくだりは、こころを打たれました。若くして召されたことは非常に残念ですが、ブログを通じての一年弱は、なんと濃い時間だったのかと思います。ブログへのコメント、リアルタイムの交流をみると、そう感じました。人生は時間の長さでなく、その...
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ある雑誌がこのような単語を作っていました。今、脳を休める方法がブームです。   そこで興味深い話を1つ。 篠宮龍三さんは、世界的にも有名なフリーダイバーで、素潜りで垂直に海底100メートル以上に達します。もちろん酸素ボンベなどなく、想像を絶する水圧の中、一呼吸で潜り、そして戻ってきます(クレージー・ジャーニーという番組で取り上げられています)。彼はなんと7分以上も息を止めることができます。その彼をして記録を伸ばすための鍵は、いかに潜っている間のエネルギー消費を減らすかだそうです。身体をうねらせ、緩やかな曲線を描きながら効率的に海底へ進みます。 しかしどんなにトレーニングをしても、エネルギー消費を抑えるのに苦労する臓器があるそうです。それが脳です。脳は身体全体のエネルギー消費の20%を占め、その重量の割にエネルギー浪費家であることがわかっています。ど...
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「まかない食」というのがあります。飲食店でお客に出すのではなく従業員自分たちのための食事のことです。これを安い値段で振る舞う店もあれば、全く無料で提供する場合もあるようです。フランスやイタリアなどでもこういった風習があります。飲食業に携わる方によると、まかない食に対する感謝の気持ちによって、その従業員の心づもりやサービス業としての能力が垣間見えるそうです。 NHKスペシャルで司馬遼太郎について「この国のかたち」を特集したものが昨今ありました。 日本人の公意識というのは起源があり、坂東武士と呼ばれる地方の開墾者たちが鎌倉幕府建立の際に寄せ集められ、その際に幕府から開墾した土地は自らのものとして保持しても良いという許しが出たそうです。それに感謝した武士たちは幕府に対して「公意識」を持って心から尽くしたそうです。この公意識が、日本人の遺伝子を脈々と流れ、東日本大震災の場面など...
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「自己肯定感」と「承認欲」。日本へ行く機会があると、よく耳にする2つの言葉です。『嫌われる勇気』(岸見一郎著 ダイヤモンド社)がロングセラーを記録し、さらには映画のタイトルになるというのも頷けます。 自己肯定感を上げるために   人からの批判や落胆することがあったとき、落胆するのはオッケーです。しかし自分を敗北者であるとか、その経験を失敗であるとラベリングしない。 他人と比較しない。これは特に日本という調和社会の中で刷り込まれたことです。要注意。 他人や社会による基準を超越する。犯罪をしてくださいと言っているわけではありません。しかし、我々の中に目に見えなくても刻み込まれている基準というものを、いちど疑うあるいは越えることで、他人が定義することから解放されます。 マインドフルに、自分がこの世界にいるそして場所があることに思いを馳せる。 ...
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  テニスのロジャー・フェデラー選手(35)が、オーストラリア・オープンテニスで18回目のメジャー大会タイトルを獲得しました。実に5年ぶりのメジャータイトル(年に4回の大きなトーナメント)です。昨年のこの大会後、膝のじん帯を切り、手術をうけ、半年の欠場を強いられました。歴史上最高の選手と謳われる彼も、世界ランキングを17位まで落としていました。誰 もが、彼のメジャー大会優勝はもうないだろうと、久しく思っていたなかでの快挙だったわけです。 高齢化社会です。 人生は長く、健康寿命(身体が元気な年齢)と実際の寿命との差が、どんどんひろがってきています。つまり、身体が思うように動かないなかで、十年以上生きていく必要があるのです。その高齢期を、いかに生きるかが課題となっています。 さまざまな理論のあるなかで、バルテスという人が提唱したのが、SOC(Selec...
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